【英語】英語リーディング教本の品詞分解の狙い
『英語リーディング教本』(通称:リー教)という有名な英語の参考書があって、今これを使って英語の勉強をしています。この参考書は、賛否両論のあることでも有名らしく、アマゾンのカスタマーレビューを読むとそのあたりがよく伝わってきます。また、著者自身もそれを認識しているようで、あとがきでそのことに触れています。
賛否が分かれる原因のひとつは、英文の構造を把握するために徹底した品詞分解を行っているからだと思うのですが、私は特にその部分に興味を惹かれたので手に取りました。本書の冒頭で、具体的な目標を以下のように書いています。
本書を勉強する最終的な目標は「初めて見る英文の構造を誤りなく認識できる力を身につける」ことにあります。
そしてこの目標を達成するためになぜ品詞分解を使うのかについては、このアマゾンのレビューを読んだことで、本書の最後の方にその重要性が書かれていることに気づきました。
昔から品詞は「英語習得の鍵は品詞の理解にあり」とか「品詞の理解と識別なくしては、いっさいの上達は絶望である」などと言われて、極度に重視されてきました。ところが、最近では残念なことに品詞分解は…
という説明から始まる「品詞と働き(その2)」の解説の中で、英文を構成するそれぞれの英単語には、「意味」の他に「品詞」と「働き」という2つの属性を持っており、英文の構造(=構文)は各語についてこの2つの属性を明らかにすることによって示され、これらが相互に規制し合うことで文意を限定することができると言っています。
具体的には、英文を読むという作業は以下の2つのプロセスから構成されていると説明しています。(p.282)
- 辞書に示された「意味」の中から、論理的に矛盾しないように、語の意味を決める。
- 辞書に示された「働き」の中から、構文的に矛盾しないように、語の働きを決める。
この2つのプロセスは「品詞」を媒介にして相互に規制し合うという密接な関係にあり(p.285)、辞書で単語を調べた場合も通常は分類は品詞別にされているので、品詞から意味や働きを限定することができるようになっているとしています。また、このことを一般化して以下のように述べています。
意味または働きによって品詞が決定され、品詞によって意味および働きが限定される。
「意味」と「品詞」と「働き」の間には密接な関係があって、1つが決まると他の2つが限定される(p.183)、というこの相互規制の関係を理解することは、英文を読む上でとても重要に思えますし、品詞分解を徹底する理由もこの言葉に込められていると感じました。
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